
一般的なプロンプトでは表現しきれないもの
これまでAIを使った文章作成に取り組む中で、ある違和感を抱き続けていました。「○○について書いてください」といった指示では、確かに情報は整理されるものの、どこか機械的で、書き手の個性や深い思考が反映されにくい—そんな実感です。
3月末から本格的に取り組み始めた「認知スタイルプロファイル」を使った記事作成は、まさにその課題への一つの解答でした。単純な指示内容を超えて、コンテクストと表現の豊かさを両立させる可能性を感じています。
興味深いのは、同じ元原稿から異なる認知スタイルプロファイルを適用することで、構成も表現も全く違う記事が生まれることです。これを実際に可視化した内容を、noteで「AIライティングの質を変える”思考プロンプト”の作り方:ChatGPT/Claude実践フレーム」として公開することにしました。
思考の個性をAIに伝える試み
別の視点から見ると、これは単なる技術的手法ではなく、自分の思考パターンをAIというツールを通じて客観化し、拡張する取り組みとも言えます。
実際の制作プロセスを振り返ってみると、私自身がこのnotheme.meで記事を書く際も、過去の文章をベースに設計した認知スタイルプロファイルを活用しています。書きたいことを整理しきれない時、まず思考を自由に展開し、その後AIに記事として構造化してもらい、最終的に自分らしさを調整するというフローです。
このアプローチによって、「書きかけのまま放置」という状況が大幅に減り、継続的な情報発信が可能になったという実感があります。効率性と創造性を両立させる一つの形かもしれません。
認知スタイルプロファイルの実践的な作り方
では、実際に自分用の認知スタイルプロファイルを構築するには、どのようなプロセスが有効でしょうか。これまでの経験から、以下のような段階的アプローチをお勧めします:
1. 素材の収集と分析
過去に自分が書いた文章の中から、「これは自分らしい表現だ」と感じるものを3〜5つ選出します。ブログ記事、メール、企画書など、媒体は問いません。
2. パターンの発見
共通する思考の流れや表現の特徴を見つけ出します。話の展開順序、重視する視点、使用する比喩の傾向などに注目します。
3. 特徴の抽象化
発見したパターンを3つ程度の特徴にまとめます。「全体像から細部へ」「具体例を多用する」「長期的影響を重視する」といった形で整理します。
4. プロンプト化
これらの特徴をAIへの指示として言語化します。「〜の視点で考えて」「〜を重視して分析して」という具体的な表現に落とし込みます。
5. 継続的な調整
実際に使用し、期待と異なる部分を段階的に修正していきます。
このプロセスで重要なのは、最初から完璧を目指さないことです。「なんとなく自分らしい」というレベルから始めて、使いながら育てていく—そんな長期的な視点が必要だと考えています。
より深い理解への展望
プロセスを振り返ってみると、単なる文章作成支援を超えた可能性も見えてきます。認知科学や発達心理学の理論を用いることで、思考パターンの背後にある認知構造や発達段階まで含めた体系的なモデル化も可能になるかもしれません。
これは15年前から続けてきた教育現場での観察と、最近のAI技術の進歩が組み合わさって初めて見えてきた領域です。技術の発展と人間理解の深化が、新しい表現の可能性を開いているという実感があります。
実践への第一歩
今回noteで公開した内容は、私が実際に使用している仕様を3段階ほど扱いやすくしたものです。一般的なプロンプトでは表現しきれない部分を感じている方、より豊かな表現の幅を求めている方に、実践的な手がかりを提供できればと考えています。
価格設定についても、当初は告知による無料提供を考えていましたが、Claudeとの対話を通じて内容に見合った適正な価格設定の重要性を再認識し、現在の形に調整しました。これも興味深い学習プロセスでした。
もし業務レベルでの本格的な活用をお考えの場合は、より深い個別対応も可能です。それぞれの思考特性や文脈に応じたカスタマイズを通じて、AIライティングの新しい可能性を一緒に探っていければと思います。
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