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電車とバスが大好きな子供との日常から気づいたこと
保育園のお迎えに行き、子供に今日は歩いて帰る?それともバス?と聞くと最近は「歩く!・・・バスに乗る!」といってきます。
毎日バスだと自分の運動量も足りないので、週に何度かにしているのですが、バスを利用しています。
2歳半でありながら、電車のE231やE233の違い、路線ごとの色の識別などは得意なのは知っていたのですが、最近は「回送」や2文字の行き先表示はわかっているようで、「○○行ききたねぇ」というようになりました。
それまでは「これは○○ゆきだよ」と断定的にかつ、当たり外れもあったのですが、わかっている時の口調が違ったのでもしや・・・と思い、最近自己分析に使っている思考性アプローチと認知系の分析を子供にもして育児に活かすことを思いつきました。
子どもの認知発達を意識した関わり方
子供のバスや電車への興味と、何について言葉を発しているのかを、テキストに起こして軽く整理して、Claudeに聞いてみたところ、しっかりと電車をただの乗り物としてとらえず、たとえば鉄道では、電車が来る時のメロディやドアが開閉する時のメロディ、行き先や種別など、交通システムとして、認知し始めていることがわかってきました。
Claudeなどを通じて、どんな能力としてみることができるのか書き出してみると以下のような能力に分類ができるようでした。
- パターン認識能力:路線図の色や形のパターンを認識し記憶する
- 空間認識能力:地図上での位置関係や方角を理解する
- 系列化能力:停留所の順序を覚え、次に来る停留所を予測する
- 時間概念:バスの時刻表を通して「〇分後」という時間の概念を理解する
- 分類能力:バスの種類や路線を分類する
上記の能力を観点にして、少し意図的に関わり方を変えてみることにしました:
- 単に「バスに乗るよ」ではなく「このバスはどこ行きのバスかな?」と質問する
- スマホのマップアプリで「このバス停から家までどう行くかな?」と考える機会を作る
- 「バスまだ来ないね、今日はあっちの一つ遅いバスにする?」と選択肢を考える
- 「今日は○○行きのバスに間に合うかな?」と行き先を認知するよう促す
まだまだそれによって、何か変わったことはないのですが、最近マップルの紙製の地図などにも興味を示しているので、保育園と自宅までの間に何があるのか、地図記号などの認知もできるか?(今は信号機のみ)など含め、お迎えの時間を多少なりとも子供の成長につながるようにできればと考えています。
既存の幼児教育法との違い
子どもの教育について調べていくと、すでに確立された様々な教育法が世の中にあることに気づきます。調べたものを簡単に紹介すると:
モンテッソーリ教育
イタリアの医師マリア・モンテッソーリが開発した教育法で、子どもの自発的活動と内発的動機づけを重視します。特別に設計された教具(「ピンクタワー」など)を使い、子どもが自分のペースで学ぶことを大切にしています。東京や横浜近郊でも多くの園で取り入れられているようでした。
モンテッソーリ教育関連書籍のリンク
レッジョ・エミリア・アプローチ
イタリアのレッジョ・エミリア市発祥の教育法で、プロジェクトベースの学習と芸術表現を重視します。子どもの「100の言葉」(表現方法)を大切にし、環境を「第三の教師」と位置づけています。日本ではまだ完全導入している園は少ないようですが、その考え方を取り入れた活動は増えています。
レッジョ・エミリア・アプローチ関連書籍へのリンク
ヴァルドルフ(シュタイナー)教育
オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが創始した教育法で、芸術・自然・想像力を重視します。年齢に応じたリズミカルなカリキュラムと全人的な発達に焦点を当てる教育法。
ヴァルドルフ(シュタイナー)教育関連書籍へのリンク
自然保育(森のようちえん)
主に屋外での活動を通じて学ぶ教育法で、自然との直接体験を重視します。神奈川県でも認可を受けた森のようちえんがあり、全国に200以上の団体、特に東日本で増加しているようです。
ハイスコープ・アプローチ
「計画-実行-振り返り」のサイクルを重視し、子どもを能動的学習者と捉える教育法です。アメリカで開発され、構造化された学習環境と子どもの自己評価能力の発達を促します。日本ではまだあまり知られていませんが、幼児教育の質向上のための参考にされることが増えています。
認知・思考性理論を用いたアプローチの特徴と実践方法
上記のような教育法はどれも素晴らしいものですが、私がここ最近子供との日常で実践している「認知・思考性アプローチ」は少し異なる視点を持っています。有名な教育法と比べると体系立っていない点も多いのですが、子どもの思考プロセスそのものに注目し、その自然な発達を支援するというアプローチです。
認知・思考性理論を用いたアプローチの簡単な実践方法例
- 子どもの「島状の専門性」を見つけ、活用する
- 子どもが特に興味を持つ分野(子供の場合はバス、友達の子は恐竜や虫など)を特定する
- その興味を様々な認知能力の発達につなげる機会を意識的に作る
- 例:バス路線図を見ながら「この青い線は何番のバス?」と数字認識を促す
- 問いかけの質を工夫する
- 「これは何?」という知識確認の質問より「どうしてそう思う?」「他にどんな方法がある?」という思考を促す質問を増やす
- 「正解」を求めるのではなく、考えるプロセスを大切にする
- 例:「どうしてこのバスは混んでるのかな?」→「会社帰りの人が多いからかな」→「じゃあ朝はどうかな?」
- 日常生活を学習の場にする
- オンライン教材や知育玩具よりも、買い物、料理、散歩などの日常活動の中に学びの機会を見つける
- 例:スーパーでの買い物で「このりんご、いくつで200円?」「お財布のお金で買える?」など計算の練習
- 複雑なシステム思考を育む
- 物事のつながりや関係性に注目するよう促す
- 「もし〇〇だったら、どうなるだろう?」という仮説思考を楽しむ
- 例:「もし雨が降ったら、バスはどうなるかな?」→「遅れるかも」→「なぜ遅れると思う?」
- メタ認知を育てる対話
- 「どうやってそれを覚えたの?」「難しかったことはどう解決した?」など、思考について考える会話を持つ
- 失敗を学びの機会として捉える姿勢を示す
- 例:「バスの番号をどうやって覚えたの?」→「色と数字で覚えたよ」→「なるほど、いい方法だね」
そして、それらで気づきがあった点をClaude Proなど思考性理論+複合性メタ認知が理解できる生成AIなどを使って状態を分析、より次のステップへ進めるような会話方法などを考え、次に活かせるようにしています。
なぜ認知・思考性理論を用いたアプローチは一般的でないのか
こういったアプローチは実践してみると子どもの変化が実感できる一方で、知育教材の購入や習い事のように表面的にわかりやすい「教育投資」ではないため、悩みながら実践している親はそこまで多くないように感じます。教育熱心な親ほど別のアプローチを取っている理由としては:
- 「何を学ぶか」(知識・スキル)に焦点が当たりがちで、「どのように学ぶか」(思考プロセス)への注目が少ない
- 目に見える成果(ひらがなが読める、足し算ができるなど)の方が他者にアピールしやすい社会的圧力
- Amazon検索で「認知・思考性アプローチ」と検索しても具体的教材が出てこない(笑)
- 朝の支度や夕食の準備で忙しい日常の中で、子どもの思考を深く観察・分析する時間的余裕がないのが正直なところ
などでしょうか。昨今は教育アプリなども多く、学習の質は向上していますが、子どもの日常から芽生える思考プロセスを意識的に育てるという視点はまだまだマイナーかもしれません。
まとめ:子どもの思考に寄り添う子育て
電車・バス好きの子供との日常から始まった「認知・思考性アプローチ」の実践は、私自身の子育ての視点を大きく変えてくれました。子どもが「何を知っているか」よりも「どのように考えているか」に注目することで、子ども本来の学ぶ力を引き出す支援ができると実感しています。
特に驚いたのは、こちらが「教えよう」と構えなくても、子どもの興味を上手く活用するだけで、自然と様々な認知能力が発達していくことです。何より、子どもと一緒に「考えること」自体が、親子にとって思いのほか楽しい時間になっているのが嬉しい発見でした。
確立された教育メソッドの価値を認めつつも、日常生活の中で子どもの思考プロセスに寄り添い、その自然な発達を支援することが、長い目で見た時の学習能力やクリエイティビティを育む鍵なのかもしれません。
みなさんも、お子さんの「島状の専門性」は何か、そしてその興味がどんな認知能力の発達につながっているか、少し意識的に観察してみると新たな発見があるかもしれませんよ。